2016年8月14日日曜日

オバマ氏長女に大麻吸引疑惑も、擁護論が圧倒

 オバマ米大統領の長女、マリアさん(18)がロック・フェスティバルの会場で、大麻らしきものを吸っている動画がインターネット上に流出、物議を醸している。ただ、ネット上では、マリアさんを擁護する声が圧倒。図らずも、世論が大麻容認に大きく傾いていている米社会の現状を示すエピソードとなっている。

動画がネット上に拡散


 今月10日に最初に動画を流したゴシップサイトのレーダー・オンラインが、投稿した人物の話として伝えたところによると、撮影したのは731日。場所は、シカゴ市内の公園で開かれていた、有名な野外フェスティバルの観客席だった。

 動画を見ると、一瞬だが、左手の人差し指と中指の間に挟んだ白くて細い手製の紙巻きたばこのようなものを口にするマリアさんの横顔を、カメラが捉えている。

 投稿者は、「彼女は私から数フィート(1フィートは約30センチ)のところにいて、臭いでそれが大麻だとわかった」とレーダー・オンラインに証言。また、「彼女の隣にいた若い男性が、そのタバコ状のものを彼女に手渡し、彼女は少なくとも1回それを口にし、彼に返した」と詳述し、「彼女の背後にはずっとシークレット・サービスがついていたが、彼女がそれを吸っていたのをシークレット・サービスが見ていたかどうかはわからない」とも語っている。

 現役大統領の娘、しかも名門ハーバード大学への入学が決まっている才媛の“スキャンダル”とあって、映像はあっという間にネット上に拡散。さらには、ニューヨーク・ポストなど大衆紙が相次いで取り上げたほか、海外のメディアも競うように報じた。

 ところが、このニュースに対する米国民の反応は、少なくともネットを見る限り、マリアさんに同情的なものが圧倒的だ。

 ツイッター上では、「マリア・オバマがタバコを吸おうが大麻を吸おうが、どうでもいいこと。ティーンエイジャーらしくさせてあげようよ」「まだティーンエイジャーなんだから、メディアはそっとしておいてあげるべき」「僕は共和党支持者でオバマ大統領は嫌いだけど、マリア・オバマが何をしようが関係ない。彼女には青春を楽しんで欲しい」など、ほとんど擁護論一色だ。

 サンフランシスコ地域の主要紙サンフランシスコ・クロニクルのオンライン版は、「ソーシャル・メディアは、マリア・オバマの行動を容認する声が圧倒的」と報道。オバマ大統領に批判的な保守系の政治ブログ、レッドステートさえも、「マリア・オバマは大統領の娘であるがゆえに、常に監視され、普通のティーンエイジャーのような暮らしができない」と同情論を展開した。

大麻解禁の流れを映す


 大麻吸引疑惑のマリアさんを擁護する論調が圧倒的なのは、米世論が大麻解禁に大きく傾いているためだ。米国では今、18歳以上の成人に対し、タバコと同じように大麻の所持、使用を認める州法が、各地で次々と成立している(Yahoo!ニュース個人「米国、大麻がタバコを逆転へ」)。逆の見方をすれば、今回の件で明らかになったように、大麻に寛容な国民が多いからこそ、大麻の合法化が進んでいるとも言える。


 奇しくも、シカゴのあるイリノイ州では、今回の動画が撮影された日のわずか2日前の7月29日、10グラム以下の大麻の所持は刑事責任を問わないとする法案に知事が署名し、ただちに発効した。

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http://bylines.news.yahoo.co.jp/inosehijiri/20160814-00061093/

2016年8月11日木曜日

米国、大麻がタバコを逆転へ

 マリファナ(大麻)の常用者数が、タバコの喫煙者数を数年内に逆転――。米国で、こんな見方が出始めている。

 喫煙に厳しい米国では、タバコに関する規制強化が進み、喫煙者が年々、減少。半面、大麻は、各州で次々と合法化され、常用者の数がうなぎ上りに増えている。有力紙ワシントン・ポストは今週、「(この傾向が続けば)数年内に、大麻がタバコよりも、より普及することになるだろう」と報じた。

カリフォルニアも解禁へ


 米国では、医療目的での大麻の使用は、すでに約半数の州で認められている。しかし、タバコのように嗜好用に吸引することは、これまで非合法だった。

 ところが、コロラド州が2014年、住民投票の結果を踏まえ、全米で初めて嗜好用の大麻の使用を解禁。合法化の動きは瞬く間に広がり、現在は、ワシントン、アラスカ、オレゴンの各州と、首都ワシントンDCでも、嗜好用の使用が認められている。

 今年11月には、全米最大の人口を誇るカリフォルニア、大都市ボストンを抱えるマサチューセッツのほか、メーン、アリゾナ、ネバダの合計5州で、大麻合法化の是非を問う住民投票が、大統領選挙と一緒に実施される。

 最新の世論調査によると、カリフォルニア州では、投票に行くと答えた有権者の60%が大麻の合法化を支持。反対の37%を大きく上回っている。

 連邦法は大麻を禁止しているが、政府は今のところ、各州の動きを静観している。

常習者は3,300万人

 

 ギャラップ社が8日発表した世論調査結果によると、大麻を吸っていると答えた成人の割合は全成人の13%に達し、2013年の7%からほぼ倍増。現在の米国の人口に当てはめると、3,300万人を超える。合法化の流れが強く影響しているとみられている。

 以前にも書いたが、大麻合法化の流れには、3つの大きな要因がある。

 第1は、現状追認。米国の多くの若者にとって、大麻は、大人の仲間入りをするための通過儀礼のようなものだ。非合法でも、現実には、大麻を吸う若者は多い。感覚的には、日本の若者が、未成年でも親の目が届かなくなったらタバコを吸い始めるのと似ている。クリントン元大統領もオバマ大統領も、若いころに大麻を吸ったと告白しているが、ほとんど問題視されなかった。

 第2は、タバコに比べれば健康に害がない言われている点だ。つい最近も、「大麻を長年吸い続けても健康への悪影響はほとんどない」とする、アリゾナ州立大学の研究者らによる研究結果が、医学専門誌に掲載された。依存症に陥る可能性も、タバコより低いと指摘する専門家は多い。

 第3に、大麻の不法所持で検挙されるのが黒人に偏っているという問題がある。黒人団体や人権団体は、大麻を取り締まる法律は人種差別的だと強く非難している。また、大麻の所持が、銃の所持などに比べれば重大事件につながる可能性が低いにもかかわらず、その取り締まりに警察官を動員するのは、税金の無駄遣いとの批判も多い。

タバコ人口は尻すぼみ


 一方、米疾病対策センター(CDC)によると、米国の推定喫煙人口は、2014年現在で、全成人の16.8%にあたる約4,000万人。2005年の20.9%から約4ポイント低下している。米国では、1995年にカリフォルニア州が他州に先駆けて公共スペースでの喫煙禁止を打ち出して以来、喫煙できる場所はどんどん狭まっており、タバコ離れが進んでいる。

 今年に入ってからも、ハワイ州やカリフォルニア州が合法的に喫煙できる年齢を18歳から21歳に引き上げるなど、規制は一段と厳しくなっている。喫煙人口がさらに減少するのは確実だ。


 大麻人口とタバコ人口が数年以内に逆転するとの予想は、かなり的を射ていると見て間違いなさそうだ。

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2016年8月4日木曜日

もしトランプ氏が撤退したら?

 もしドナルド・トランプ候補が、米大統領選挙から撤退したらどうするか?こんな議論が米共和党幹部の間で真剣にかわされ始めていると、米主要メディアが相次いで報じている。

 いまのところ、トランプ氏側から撤退をにおわせるサインは出ていないが、元々その言動が読めず、相次ぐ問題発言で共和党内でも四面楚歌のトランプ氏だけに、この先、何が起きても不思議ではないというわけだ。

 ABCテレビは3日、共和党関係者の話として、「共和党幹部は、ふつうの選挙の年だったら起こり得ないシナリオが起こった場合に備え、その対処法を研究し始めている」と報道。さらに、「もしトランプ氏が選挙戦から降りた場合、どうやって代わりの候補者を立てればよいか、方策を探っている」と伝えている。

 共和党全国委員会のルールには、党大会で正式に指名された候補が何らかの理由で出馬を取りやめた場合の後任選びの手続きが、一通り書かれている。しかし、仮にルールが適用されるような事態になった場合、だれも経験したことがないだけに、混乱は必至だ。

 また、ABCは、党内の専門家の話として、仮にトランプ氏が選挙戦から降りることになった場合、9月の上旬ごろまでに降りないと、後任を選び直し、かつ11月の本選挙で勝てる態勢を整えるのは極めて難しくなるという。

 ロサンゼルス・タイムズ紙も同じく3日、「共和党の幹部らは、トランプ氏が選挙戦から突然撤退を表明した場合の善後策を話し合い始めている」と伝えた。

 共和党のルールでは、党は党大会で選んだ候補者に対し、選挙戦からの撤退を強制できない。これまで、味方であるはずの共和党の政治家を激しく批判し続け、問題発言で有権者の支持率も民主党のヒラリー・クリントン候補に水をあけられているトランプ氏には、できれば自発的に選挙戦から撤退して欲しいというのが、共和党主流派の本音のようだ。

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