ジャガイモは米国人にとってきわめて身近な食材であるため。今後、認可されたGMジャガイモの安全性や流通をめぐって議論が巻き起こりそうだ。また、今回認可を受けたジャガイモ生産企業は、ハンバーガーチェーン大手マクドナルドの主要な取引先であることから、マクドナルドにGM論争の火の粉が降りかかる可能性もある。

米国内ではGM食品が広く流通しているが、GM食品の安全性や自然環境への悪影響を懸念する消費者は多い。ジャガイモに関しては、1995年に一度、モンサント社が害虫抵抗性を備えたGMジャガイモを発売したが、市場が広がらず、撤退に追い込まれたいきさつがある。
今回のGMジャガイモの認可報道を受けて、消費者団体は早くも、GMジャガイモの流通に懸念を表明している。センター・フォー・フード・セイフティ(Center for Food Safety)は、「現状では遺伝子組み換え食品に対する表示義務がないため、消費者はGMジャガイモかどうか知らずに買わされることになる」とGMジャガイモの流通に反対する。
一度、市場拡大に失敗しているGMジャガイモが、果たして今度は成功するのか。そのカギをにぎりそうなのが、マクドナルドの動向だ。
JRシンプロットは長年、マクドナルドに冷凍フライドポテトを納入しており、現在も主要取引先の一つ。GMジャガイモの大量生産が軌道に乗れば、GMジャガイモから作られたフライドポテトがマクドナルドに納入される可能性もないとは言えない。現地からの報道によると、消費者団体などはすでに、マクドナルドにGMジャガイモを使わないよう訴えかけ始めたという。
マクドナルドは、消費者の健康志向や安全志向の高まりという逆風を受け、苦戦が続いている。こうした状況で、「GMフライドポテト」がメニューに加わるようなことにでもなれば、消費者のマクドナルド離れが一段と進みかねない。マクドナルドの経営陣がどんな判断を下すのか、注目される。
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